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2013/09/18 第5回京都=アチェ「災害と社会」国際ワークショップ 災害後社会の復興における記憶と記録―コミュニティを結び育てる場としてのミュージアム

災害後社会の復興における記憶と記録
――コミュニティを結び育てる場としてのミュージアム――

■日時 2013年9月18日(水)午後2時半~午後6時
■場所 京都大学地域研究統合情報センター・セミナー室
(京都大学稲盛財団記念館2階213号室)http://www.cias.kyoto-u.ac.jp/access/
■概要
 京都大学地域研究統合情報センター(CIAS)では、学術交流協定を結んでいるインドネシア共和国アチェ州のシアクアラ大学津波防災研究センター(TDMRC)から3名の研究員を迎えて、第5回京都=アチェ「災害と社会」国際ワークショップを開催します。
 2004年スマトラ沖地震津波(インド洋津波)の最大の被災地となったアチェでは、死者・行方不明者16万5000人にのぼる被災とそこからの復興の経験を、どのように記録し、アチェ内外の人々の間で共有していくかという課題が取り組まれています。地域研究統合情報センターは、現地の関係機関と協力して、被害と救援・復興の経年変化の様子を地図上で示すオンライン・デジタル・アーカイブ「アチェ津波モバイル博物館」をはじめ、地域情報を活用した地域再生の取り組みを行ってきました。また、学術交流協定にもとづき、これまでに京都とアチェで合計4回にわたり「災害と社会」国際ワークショップを行ってきました。
 第一セッションでは、被災から9年目を迎えて物理的な復興が進み、「災害からの復興」が社会全体の共通の課題でなくなりつつあるという危機感のなかで、アチェ社会で記憶と記録という観点から災害後社会の中長期的な復興に取り組む活動を紹介します。
アチェでは、未曽有の被災と復興の経験を人類史に記録すべき経験と捉え、次世代や世界の他地域の人々と共有するために様々な取り組みがなされてきました。2006年には国立シアクアラ大学に津波防災研究センターが設立され、インドネシア全国における災害対応研究の拠点となっています。2011年にはシアクアラ大学に大学院防災学研究専攻科が設立され、行政やNGOなど災害対応に深くかかわる関係諸機関の社会人学生を含む学生に防災の専門教育を行っています。
 また、アチェでは復興の初期段階から州をあげて「津波ツーリズム」の振興に取り組んできました。2009年にはアチェ津波博物館が完成し、被災と復興の経験をインドネシア内外で共有するための博物館づくりが進められています。
 アチェでは日本の阪神淡路大震災の経験がしばしば参照されてきました。被災から19年目を迎えようとしている阪神淡路大震災後の神戸では、被災後に生まれ育った世代が社会の担い手に成長しつつあります。第一セッションの後半では、世代を越えて記憶が継承される条件について、阪神淡路大震災後の神戸における実践例から検討します。
 第二セッションでは、コミュニティの記憶や記録を共有する場としてのミュージアムの役割に注目しながら、グローバル化や情報化が進展する現代世界において記録・記憶を共有するうえでの課題について考えます。防災教育にとどまらず歴史教育やツーリズムといった多分野への活用をめざすドキュメンタリー映画制作の取り組みや、世代を繋ぐポピュラー文化の持つ機能に注目した取り組みを紹介します。
 総合討論では、記録や記憶の共有を通じたコミュニティづくりが直面している課題について検討し、世代、地域、時代を越えてコミュニティを結び育てる場としてのミュージアムの役割と可能性について考えます。

■プログラム
14時30分~
・開会挨拶 林行夫(京都大学地域研究統合情報センター・センター長)
・趣旨説明「地域研究と地域情報学を活用した災害に強い社会づくり――アチェ津波モバイル博物館がめざすもの」西芳実(京都大学地域研究統合情報センター)
15時~16時
●第一セッション 地震・津波被災地における記憶と記録――アチェと神戸の取り組みから
・報告1「津波被災10周年を迎えるアチェの課題と挑戦――科学にもとづく津波スマイル構想」マフルザ・ムルダニ (シアクアラ大学津波防災研究センター研究員)、アリフ・ラフマン
・報告2「の中の記憶――記憶のネットワークにむけての試論」寺田匡宏(総合地球環境学研究所)
16時~17時
●第二セッション コミュニティを結び育てる場としてのミュージアム
・報告1「ドキュメンタリー映画を通じた防災教育――アチェ津波博物館の新たな試み」アリフ・ラフマン(シアクアラ大学津波防災研究センター研究員)
・報告2「ミュージアムに託されたマンガと記憶」谷川竜一(京都大学地域研究統合情報センター)
17時~18時
・総合討論
・閉会挨拶

■主催
・京都大学地域研究統合情報センター
インドネシア共和国シアクアラ大学津波防災研究センター
■共催
・科研費(基盤A)「災害対応の地域研究の創出―『防災スマトラ・モデル』の構築とその実践的活用」(代表:山本博之)
・京都大学地域研究統合情報センター共同研究「「小さな災害」アプローチによる紛争・災害に強い社会づくり」」(代表:西芳実)
・京都大学地域研究統合情報センター共同研究「「建築を通したポピュラー文化の記憶の場の構築力の解明」」(代表:山中知恵)
・京都大学地域研究統合情報センター共同研究「「災厄からの再生のための記録と記憶の〈場〉」」(代表:寺田匡宏)

■関連情報
京都大学地域研究統合情報センターの災害関連データベースについて
・アチェ津波モバイル博物館(インドネシア語版日本語版
シアクアラ大学津波防災研究センターとの学術交流について
京都大学地域研究統合情報センター「災害対応の地域研究」プロジェクトについて
京都大学地域研究統合情報センター地域情報学プロジェクトについて

■過去の「災害と社会」国際ワークショップ
・第1回「災害遺産と創造的復興――地域情報学の活用を通じて」(2011年12月21日~26日、インドネシア共和国アチェ州バンダアチェ市)
・第2回「災害後社会の情報管理」(2012年7月2日、京都大学地域研究統合情報センター)
・第3回「世代を越えて強くしなやかなアチェ社会を作る」(2012年10月21~23日、インドネシア共和国アチェ州バンダアチェ市)
・第4回「情報遺産を活用した災害後社会の創造的復興――津波モバイル博物館と科学的知見にもとづく津波との共生」(2013年8月27~28日、インドネシア共和国アチェ州バンダアチェ市)