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3・11被災後のディアスポラ・コミュニティにおけるコミュニケーションの総合的研究(h23~h24)

過去の研究プロジェクト

3・11被災後のディアスポラ・コミュニティにおけるコミュニケーションの総合的研究(h23~h24)

個別共同研究ユニット
代表: 中島成久(法政大学国際文化学部・教授)
共同研究員: 岡田(堀川)智子、小河久志(総合地球環境学研究所・プロジェクト研究員/法政大学・兼任教員)、小野澤正喜(育英短期大学現代コミュニケーション学科・教授/筑波大学名誉教授)、甲洋介(法政大学国際文化学部・教授)、栗原奈名子(インディペンデント)、佐々木直美(法政大学国際文化学部・准教授)、中島成久(法政大学国際文化学部・教授)
期間: 平成23年4月~平成25年3月(2年間)
目的:  法政大学国際文化学部では、言語、文化、情報の3分野のコミュニケーションの研究を1999年の学部創設以来行ってきた。
 文化人類学/社会人類学では、マルセル・モース、レヴィ=ストロース以来、言語、モノ、ヒト(女性)の交換が文化の体系をなすと前提されてきたが、そうした伝統を批判的に検討し、今日のディアスポラ・コミュニティでのコミュニケーションの総合的な研究を通して、新境地を切り開こうとしている。
 本研究では、文化人類学、映画製作、情報学などの異業種の人材と方法をクロスオーバーさせ、新しい研究分野と方法論を確立させることを目指している。
 具体的には、3・11の地震と津波で大きな被害を受けた茨城県大洗町周辺での日系ブラジル人・ペルー人・インドネシア人その他の外国人コミュニティをモデルとして、そこでの予備的なフィールドワークを実施し、本格的な研究への導入としたい。
研究実施状況: -平成23年度-
1.2011年10月9~10日 茨城県大洗町インドネシア人コミュニティ被災調査
2.2011年12月17日 宮城学院女子大学シンポジウム「3・11私たちも共に震災を乗り越えた――「外国人」県民の視点から震災後の宮城と日本の多文化共生を問う」参加
3.2011年12月19日 メンバーによる研究会および講演会
講師 寺田勇文氏「東日本大震災後の被災地におけるフィリピン人カトリック共同体について」
4.2012年2月9日 茨城県国際交流協会(水戸市)を訪問し、3・11以後の外国人支援の実態をインタビュー調査
-平成24年度-
2012年4月、4人のメンバーで福島県南相馬市を訪問し、南相馬市議、元原発労働者、縫製業者、仮設住宅での居住者、堀川さんのご両親などとのインタビュー調査のほか、南相馬市で基礎データを収集した。
2012年7月末、別予算で二年ぶりに実施された「相馬野馬追祭り」を見にゆき、震災復興と伝統的な祭りとの関係性を次回の研究テーマとする可能性を追求した。
2012年10月、法政大学国際文化学部企画との共催という形で、「原発震災被災地復興の条件――ローカルな声」というシンポジウムを実施した。
研究成果の概要: -平成23年度-
 法政大学国際文化学部の特徴である「言語、文化、情報」に関するコミュニケーションの総合的研究という方法論を3・11で被災したディアスポラ・コミュニティに適応すること、その第1の調査地にインドネシア人コミュニティが存在する茨城県大洗町を選ぶ、という前提で研究を始めた。
昨年12月17日に実施された宮城学院女子大学での宮城県被災外国人に関するシンポジウムに参加し、多くの知見を得た。その中で、地方自治体の災害時外国人支援活動の存在とその活動の一端を知った。宮城学院大学でのシンポジウムも宮城県国際交流協会の大村昌枝氏の協力の下行われていて、大洗町でのインドネシア人コミュニティの事例も、茨城県全体の被災外国人支援活動の一環としてみなければならない、と痛感した。
 そのような観点から、今年2月9日、水戸市の茨城県国際交流協会を訪ね、事務局長の岩本郁子氏に協会の活動の詳細をうかがった。茨城県では県内在住6万弱の外国人のために、英語、中国語、韓国語、ポルトガル語、スペイン語、タイ語、タガログ語、インドネシア語の8カ国語による相談を実施しているが、その中の、ポルトガル語、タガログ語、インドネシア語担当の日系人、フィリピン人(日本人と結婚)、インドネシア人(家族で滞在)の方々とのインタビューができた。
 その結果、今後、地方自治体による災害時外国人支援事業との連携を強化することの必要性を実感した。われわれができる支援活動もあるし、そうした支援活動を通じた新たな課題の発見もありうることを実感した。
-平成24年度-
 2012年10月20日、法政大学で「原発震災被災地復興の条件――ローカルな声」(法政大学国際文化学部企画、地域研究コンソーシアム社会連携部門、京大地域研究統合情報センター災害対応の地域研究部門共催)と題するシンポジウムを実施した。パネリストとして被災地から横山恵久子氏(NPO法人難民を助ける会)、それに震災後南相馬市で長く撮影活動をしてきたドキュメンタリー映画監督の松林要樹氏をお招きした。このお二人の発表に対して、コメンテーターとして伴英幸氏(原子力資料情報センター共同代表、事務局長)および家田修氏(北大スラブ研究センター教授)をお迎えし、30人の参加者からの質疑応答を交えて、4時間の長い時間を活発な議論を展開することができた。
公表実績: -平成24年度-
中島成久他6名(小野澤正喜、甲洋介、栗原奈々子、佐々木直美、小河久志、堀川智子)
「3・11震災とエグゾダス体験」『異文化』(論文編)第14号、2013年4月1日発行、法政大学国際文化学部、149~170頁
中島成久・西 芳実編 シンポジウム報告書『原発震災被災地復興の条件――ローカルな声』法政大学国際文化学部、京都大学地域研究統合情報センター、地域研究コンソーシアム社会連携部会、JCAS Collaboration Series 7、2013年4月
研究成果公表計画
今後の展開等:
-平成23年度- 
 地震、津波、原発事故の複合災害である3・11を見る場合、災害弱者である外国人は一つの切り口であるが、彼らの存在は原発ジプシーと呼ばれる原発労働者にも通じる。2012年度はまず、福島県南相馬町を訪れ、複合災害の実態と外国人被災者、および原発労働者との関連を追及したい。
 つぎに、茨城県国際交流協会、宮城県国際交流協会と協力して、外国人被災者支援活動の現状と課題についてのシンポジウムを法政大学で実施する。その費用の一部は国際文化学部の学部企画費から支出する。もちろんその前に、茨城県での外国人被災者の実態調査をさらに行うことが必要である。
-平成24年度-
 原発震災被災地復興の条件として、旧相馬中村藩全域で行われてきた「相馬野馬追祭り」と震災復興とのかかわりについて継続敵に研究を続ける予定である。