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『仮想地球』モデルをもちいたグローバル/ローカル地域認識の展開(h23)

過去の研究プロジェクト

『仮想地球』モデルをもちいたグローバル/ローカル地域認識の展開(h23)

個別共同研究ユニット
代表: 荒木茂(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・教授)
共同研究員: 伊藤義将(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・博士後期課程)、稲井啓之(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・博士後期課程)、神谷俊郎(大阪大学大学院言語文化研究科・非常勤講師)、紺屋あかり(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・博士後期課程)、鈴木遥(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・博士後期課程)、藤岡悠一郎(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・研究員)、吉村千恵(京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科・博士後期課程)
期間: 平成23年4月~平成24年3月(1年間)
目的:  地域研究の総合化のためには、地球・地域をどのように捉えていくかという枠組みが必要であるが、そのような手法は現在開発されていない。政治、経済、文化、情報のグローバリゼーションと地域変動の実相解明は地域研究の現代的テーマであるが、分野横断的かつ、より大きな枠組みでこれらをとらえていく必要がある。申請者らは、個別地域情報を読み込むことのできる精度をもった全地球的な各種主題図と、地域の地点情報を集積し表示するシステム(『仮想地球』モデル)を開発し、、本研究は『仮想地球』モデルを用いて、グローバルな認識と地域研究が対象とするローカルな認識とを接合させる試みを行なってきた。本年度は、その更なる展開として、地域研究の文化的事象を自然的枠組みの中で考察していきたい。
研究実施状況: 年数回の研究会をおこなうことによって、グローバル/ローカル認識の接合を図り、その成果を『仮想地球』統合データベースとして集積する。
大きな枠組みとして、グローバル環境史を想定している。これは人類が発生して以来、BP20万年以降の気候的環境変動と人為的自然改変の歴史を総合化するものであるが、これに限定するものではない。むしろ、さまざまな人間活動(宗教、精神文化、生業、経済、ネットワークなどの研究テーマ:これは分野としてのグローバルな認識が前提となっている)が、地域としてどのような広がりをもって展開しているかに焦点をあて、文理融合的な考察を行っていく。
現在想定している研究会、シンポジウムのテーマは以下の通りである。
■「世界の言語分布と人類の拡散」■「伝統芸能にみる身体技法の多様性と共通性」
■「世界の森林と耕地化の歴史」
これらのテーマをグローバルな認識として想定しながら、生態と密接に関連した地域の人間活動研究の成果を領域横断的に比較、検討していく。
研究成果の概要: ■「世界の言語分布と人類の拡散」■「伝統芸能にみる身体技法の多様性と共通性」をテーマに研究会を開催することを予定していたが、共同研究者の都合で後者の開催が実現できなかった。それを補てんする形で、グローバルCOE基盤整備部会データベース小委員会で集積した成果を合わせて方法論的検討を行なった。
共同研究者である神谷俊郎氏(大阪大学世界言語センター)のイニシアチブで、「アフリカの言語分布と人口移動を考える」というタイトルで研究会が行われた(3月22日)。
湯川恭敏氏(平成帝京大学)は、集大成である著書「バントゥ諸語分岐史の研究」(ひつじ書房)にもとづき、いわゆるバントゥ拡散(Bantu Expansion)プロセスの言語学的分析についての発表を行なった。アフリカ諸語間の基本語彙200語の類似度を数量化し、バンツーの拡散ルートの推定を行ない、口承伝承などでこれまで推定されていたルートと異なる結果を得た。また討論のなかで、人類の起源に近づくほど、言語の音素数が増加するとの最近の成果がしめされたが、人の移動と言語の伝承に関しては、時間的な枠組みとより実態的なプロセスの解明が必要であると思われた。仲尾周一郎氏(京都大学大学院)は、北アフリカで話されているアラビア語の方言、特にスーダン・ジュバ方言の研究に取り組み、それがアラブ人と奴隷制度を媒介として各地に伝播し、ピジン・クレオール化した各種言語をつくりだし、人口移動とともに北はバルカンから南は東アフリカに至るまで拡大したことを明らかにした。
公表実績: 結果を『仮想地球』研究会HPに掲載の予定。(http://virtual-earth.asafas.kyoto-u.ac.jp/
研究成果公表計画今後の展開等: グローバルCOE「生存基盤持続型の発展を目指す地域研究拠点」基盤情報部会が作成した情報集積システムと合わせて地域研究地点情報の集積をはかり、総合的で、よりインタラクティブな地域把握の方法を構築する。