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近代アジアにおける植民地都市と商業・金融・情報ネットワーク(h22)

過去の研究プロジェクト

近代アジアにおける植民地都市と商業・金融・情報ネットワーク(h22)

個別共同研究ユニット
代表: 脇村孝平(大阪市立大学大学院経済学研究科・教授)
共同研究員: 石川亮太(佐賀大学経済学部・准教授)、大石高志(神戸市外国語大学外国語学部・准教授)、押川文子(京都大学地域研究統合情報センター・教授)、籠谷直人(京都大学人文科学研究所・教授)、川村朋貴(富山大学人文学部・准教授)、神田さやこ(慶應義塾大学経済学部・准教授)、木谷名都子(名古屋市立大学経済学部・講師)、島田竜登(西南学院大学経済学部・准教授)、谷口謙次(甲南大学経済学部・非常勤講師)、西村雄志(松山大学経済学部・准教授)、藤田拓之(立命館大学・PDH)、水野祥子(九州産業大学経済学部・講師)、三瀬利之(国立民族学博物館・共同研究員)、藪下信幸(近畿大学経営学部商学科・准教授)
期間: 平成22年4月~平成23年3月(1年間)
目的:  本研究は、近代アジアにおける植民地都市(主に、イギリス帝国British Empireを対象にする)に焦点を合わせて、そこを舞台として活動したイギリス系およびアジア系の商人・企業家・銀行の経済活動、そして彼らの活動の基盤をなした諸条件(都市の空間的構造、都市インフラ、法的・制度的諸条件など)を総合的に探究する。それぞれの都市を個別的に取り扱うのではなく、相互に関係する連鎖として把握することにより、広域的な商人・企業家・銀行のネットワークの態様を、構造的・空間的に明らかにする。こうした研究によって、20世紀後半のアジアにおける経済発展の歴史的背景の一端が明らかになると考える。なお、本研究は、史料保存・利用の技術革新とも言える英国議会資料(BPP)のWeb版を積極的に活用する共同研究であることも意図している。
研究実施状況:  本年度は、この共同研究に関連して、3回の研究会(7月25日、9月23日、1月10日)を開催した。本年度、①19世紀アジアの植民地都市に関する先行研究の検討、②植民地都市の概念規定、③19世紀アジアの植民地都市の相互関係という三つの課題を掲げて研究活動を行った。①としては、カルカッタ(脇村孝平:大阪市立大学)、横浜(市川智生:上海交通大学)、バタヴィア(島田竜登:西南学院大学)、ボンベイ(木谷名都子:名古屋市立大学)、ペナン(川村:富山大学)についての報告がなされた。また、②に関しては、山田協太氏(京都大学ASAFAS)を招いて「近代都市再考―植民都市から世界の見通しを考える」と題する報告がなされた。さらに、③に関しては、原孝一郎氏(東京大学・特任研究員)を招いて「専売アヘン生産とカルカッタの役割について」と題する報告がなされた。
研究成果の概要:  幸いにして、本年度より科学研究費補助金の採択を受けたので、資料調査などを含めて本格的な研究を行える基盤が築けた。このような研究報告を通じて明らかになったのは、19世紀アジアの植民地都市を連鎖として把握する視点の有効性である。すなわち、19世紀の前半以降、英領インドを基点として東進するイギリス帝国の伸張に伴って、南アジアから東南アジア、さらに東アジアへと地域的拠点として植民地都市が創出されていくが、これらの波及・連関は、イギリス系商人・商社のみならず、インド系商人もしくは中国系商人のネットワーク的展開と関連させて理解することが必要であるという点が明らかになった。特に、このような植民地都市間のネットワークを分析する上で、アヘンなどの一定の商品に焦点を合わせることが有効であろうということが明らかになった。
公表実績: (出版)
・ 脇村孝平「グローバル化の経済史-インド亜大陸の800年」『ワークショップ社会経済史-現代人のための歴史ナビゲーション』(川越修・友部謙一・花島誠人との共著)ナカニシヤ出版、63-124ページ、2010年。
・ 籠谷直人「第一次世界大戦下の東南アジア経済と日本」『岩波講座 東アジア近現代通史3 1910年代』岩波書店、231-254ページ、2010年。
・ 島田竜登、「近世アジアの交易世界―オランダ東インド会社文書からの接近」『歴史と地理』634号、1-14ページ、2010年。
 
(学会発表)
・ Kohei Wakimura, ‘Cholera Pandemics and the Problem of Water in the 19th Century India’, presented at the INDAS Second International Conference 2011, ‘Understanding Global India: The South Asian Path of Development and its Possibilities’, Kyoto International Community House,Kyoto, January 29-30, 2011.
・ Tomotaka Kawamura, ‘Maritime Asian Trade and the Economic Development of Penang, c.1786-1820’, presented at ‘International Port Cities and Colonisation/Decolonisation’ Seminar, University of Liverpool, Liverpool, UK, September 22, 2010.
・ Ryuto Shimada, ‘Dutch Commercial Networks in Asia in Transition, 1740-1830’, presented at the4th Korean-Japanese Conference of British History, Kumamoto University, Japan, November 14,2010.
(以上、好評実績の一部のみ記載)
研究成果公表計画
今後の展開等:
 本年度より科学研究費補助金の採択を受けたので、今後、本格的な研究活動が継続できるという見通しを得た。