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CIAS所蔵資料の活用(h22~h24)

過去の研究プロジェクト

CIAS所蔵資料の活用(h22~h24)

複合共同研究ユニット
代表: 帯谷知可(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)
共同研究員: 貴志俊彦(京都大学地域研究統合情報センター・教授)、篠崎香織(北九州市立大学外国語学部・准教授)、坪井祐司(㈶東洋文庫研究部・研究員)、原正一郎(京都大学地域研究統合情報センター・教授)、脇村孝平(大阪市立大学大学院経済学研究科・教授)
期間: 平成22年4月~平成25年3月(3年間)
目的:  CIASの所蔵資料(附属図書館地階に設置されている京セラ文庫「英国議会資料」、およびCIAS図書室に所蔵されている図書、マイクロフォーム資料、磁気・光媒体資料、地図、AV資料など)をより広い範囲で共同利用に付すことを促進し、地域研究のための資料として現代にみあった手法でより有効に活用する可能性を検討することを目的とする。また、具体的な資料群の活用を通じて、地域研究の新たなテーマを掘り起こす可能性を探りつつ、CIASのデータベース構築や資料収集などへのフィードバックを行い、近年飛躍的に進展している情報資源や資料の共有化の動向を視野に入れながら、資料基盤の形成という観点からの地域研究への貢献についての議論につなげていくことをめざす。
研究実施状況: -平成22年度-
 今年度、本複合共同研究のもとでは「近代アジアにおける植民地都市と商業・金融・情報ネットワーク」(代表:脇村孝平、英国議会資料の活用)、「脱植民地化期の東南アジアにおけるムスリム社会の動態」(代表:坪井祐司、『カラム』の活用)、「『トルキスタン集成』のデータベース化とその現代的活用の諸相」(代表:帯谷知可、『トルキスタン集成』の活用)の3つの個別共同研究ユニットがそれぞれ計画に従って活動を展開した。
 複合共同研究ユニットとしては、これらの個別プロジェクトを横断しつつ、地域情報学の分野からの視点も取り込みながら、資料の活用をめぐって地域研究全般にとっても検討に値する問題群の発見につながるような、ブレインストーミング的な議論の場とすることを目的として、研究会を2回開催した。詳細は以下の通り。
 第1回研究会(8月3日):地域研所蔵資料と関連した研究プロジェクトをつなぐ試み
  報告:「本複合共同研究の趣旨説明および研究計画について」(帯谷知可)
     「近代アジアにおける植民地都市と商業・金融・情報ネットワーク」(脇村孝平)
     「脱植民地化期の東南アジアにおけるムスリム社会の動態」(坪井祐司)
     「大衆文化のグローバル化に見る包摂と排除の諸相―マレーシア映画を事例として」(篠崎香織)
     「『トルキスタン集成』のデータベース化とその現代的活用の諸相」(帯谷知可)
 第2回研究会(1月11日):地域研所蔵の地図資料をめぐって(地域情報学プロジェクトと合同)
  報告:「ソ連軍参謀本部作成地形図データベースについて」(原正一郎)
     「『トルキスタン集成』中の地図資料について」(帯谷知可)
-平成23年度-
 今年度、本複合共同研究のもとでは、「脱植民地化期の東南アジアにおけるムスリム社会の動態」(代表:坪井祐司、『カラム』の活用)、「『トルキスタン集成』のデータベース化とその現代的活用の諸相」(代表:帯谷知可、『トルキスタン集成』の活用)の2つの個別共同研究ユニットがそれぞれ計画に従って活動を行った。
 複合共同研究ユニットとしては、これらの個別プロジェクトを横断しつつ、CIASの地域情報学プロジェクトとも協力してその分野からの視点も取り込みながら、CIAS所蔵資料の活用にまつわる個別の問題やトピックを具体的に検討するためのブレインストーミング的な場とすることを目的として、研究会を3回開催した。詳細は以下の通り。
第1回研究会(2011年7月19日):地図資料の著作権についての情報共有と検討
報告:「ソ連参謀本部作成地形図の著作権をめぐって」(帯谷知可)
第2回研究会(2011年11月28日):「トルキスタン集成」のコレクションとしての性格(個別共同研究「『トルキスタン集成』のデータベース化とその現代的活用の諸相」と合同開催)
報告:「The Turkestanskii Sbornik Collection as a Model of the Colonial Knowledge and Ideology of the Imperial Colonization」(B. Babadjanov、ウズベキスタン科学アカデミー東洋学研究所、2011年度CIAS国外客員教授)
第3回研究会(2012年3月22日):アラビア文字資料のデータベース化の諸問題の検討
報告:「『カラム』のローマ字翻字とデータベース化に関する諸問題」(坪井祐司)
-平成24年度-
 平成24年度本複合ユニットのもとでは、「島嶼部東南アジアにおける国民国家形成とマレー・ムスリムのネットワーク」(代表:坪井祐司、『カラム』の活用)、「『混成アジア映画』に見る世界:一潮流としてのマレーシアを中心に」(代表:篠崎香織、マレーシア映画データベースの活用)、「帝政ロシアの植民地的『知』の中の中央アジア:『トルキスタン集成』データベースの検索機能の高度化を通じて」(代表:帯谷知可、「トルキスタン集成」の活用)の3つの個別ユニットがそれぞれ計画に従って活動を展開した。
 複合ユニットとしては、これらの個別プロジェクトを横断しつつ、地域情報学の分野からの視点も取り込みながら、資料の活用をめぐって地域研究全般にとっても検討に値する問題群の発見につながるような、ブレインストーミング的な議論の場とすることの一環として、次に示す通り、研究会を1回開催した(地域情報学プロジェクトと合同開催)。
第1回研究会(8月3日)
*今年度の個別ユニットの概要紹介
「島嶼部東南アジアにおける国民国家形成とマレー・ムスリムのネットワーク」(坪井祐司)
「帝政ロシアの植民地的『知』の中の中央アジア:『トルキスタン集成』データベースの検索機能の高度化を通じて」(帯谷知可)
*地域研究の素材としての映画とその活用の展望
「『混成アジア映画』時代の到来と映画データベース」(篠崎香織)
「ボリウッド映画の新しい潮流:グローバル化、個人化、ミドルクラスの眼差し」(押川文子、CIAS)
 同時に、今年度をもって本複合ユニットの研究期間が終了となるため、メンバー外にも開かれた拡大研究会の開催を企画し、その組織のための研究打ち合わせ1回(12月10日)を経て、これまでに本ユニットで取り上げてきたトピックの中から「著作権」と「地域研究資料としての映画」の二つに焦点を当て、「デジタル化」をキーワードとした拡大研究会を以下の通り開催した(地域情報学プロジェクトと合同開催)。
拡大研究会(3月22日)「地域研究資料をとりまく新たな波―デジタル化時代の課題と展望―」
セッション1:地域研究資料と著作権問題―データベース構築の現場から
「マレー語雑誌『カラム』のデジタル化の展望と課題:現地機関との資料の共有をめぐって」(坪井祐司/青柳枝里子、穂高書店)
「旧ソ連軍参謀本部作成地形図の著作権問題:解体された国家の機密資料をめぐって」(帯谷知可)
コメント:渡部俊英(北海道大学大学院法学研究科)
セッション2:デジタル化と混成化の時代における映像資料―地域研究における可能性を探る
「趣旨説明」(篠崎香織)
「混成アジア映画と地域秩序の再編:マレーシア映画を事例として」(篠崎香織)
「『グローバル』と『インド』のはざまで:ボリウッド映画のなかのジェンダー表象」(押川文子)
「イラン映画のアイデンティティクライシスと『混成化』をめぐって」(鈴木均、JETROアジア経済研究所)
「ロマの声/ジプシーの音楽」(阿部賢一、立教大学大学院文学研究科)
コメント:田沼幸子(大阪大学大学院人間科学研究科)
研究成果の概要: -平成22年度-
 本複合共同研究の初年度である今年度、傘下で活動した3つの個別共同研究は、資料の活用という観点から三者三様にユニークな活動を行った。それらは、本複合共同研究の趣旨からは次のように位置づけることができる。「近代アジアにおける植民地都市と商業・金融・情報ネットワーク」は、英国議会資料の特にオンライン版の活用によって、資料の海と格闘する中から研究テーマが絞り込まれてきたものであり、英国議会資料活用の新たな局面を示唆している。「脱植民地化期の東南アジアにおけるムスリム社会の動態」は、すでに地域研で公開されているデータベース(マレー語雑誌『カラム』)を個別の研究テーマに即して活用する、具体的方向性のひとつを提示するものとなっている。「『トルキスタン集成』のデータベース化とその現代的活用の諸相」は、現地との協働による希少資料の内容保存と共有を視野に入れつつ、実際に資料を利用する今日の研究者の視点を意識したデータベースの構築・改良を目指したものである。
 これらの代表者を含めた本複合共同研究の研究会での議論においては、地図資料活用の方向性、地域研究資料の活用における著作権等の権利をめぐる問題、多言語間の横断検索の手法などが、個々のプロジェクトの直接的な目的を超えて、関心を向けるべき課題として浮上した。また、こうした課題は、今年度地域研に発足した地域情報学プロジェクトにとっても共通のものであり、今後緊密に連携しながら活動を行っていく方向性を確認した。
 本複合共同研究は地域研の研究と図書室とデータベース構築とをつなぐフォーラムのような機能を果たすべきであるとの認識にいたった。
-平成23年度-
 個々の研究会のテーマ設定は一見ばらばらに見えるが、地域研究資料とそれにまつわる様々な権利の問題への着目、希少資料の国際的共有の意義と手法、複数言語間の資料横断検索の意義と手法という展望を含んだものであった。この3つの展望は、地域研究資料の活用、CIASの所蔵資料・データベースの基盤構築と活用という観点からいずれも重要なものであり、今後も材料や視点をかえて引き続き検討されるべき課題として位置づけた。
 なお、昨年度の研究成果報告会・助言検討会においてCIAS所蔵資料の利用促進・広報のために本共同研究としても何らかのアクションを起こすべきであろうとのコメントをいただいたことを受けて、CIAS図書BPP委員会との協力のもと、図書室HPのエッセイ「地域研究資料へのいざない」に本研究課題と関連するエッセイをメンバーが提供、あるいは仲介して提供し、CIAS所蔵資料の広報の一助とした。
-平成24年度-
 平成24年度は傘下で活動する個別ユニットがいずれも新規のものとなったが、従来の地域研究資料とそれにまつわる様々な権利(特に著作権)の問題への着目、希少資料の国際的共有の意義と手法、複数言語間の資料横断検索の意義と手法などのトピックに加えて、地域研究資料としての映画とその活用の可能性というトピックが加わることとなった。
 本複合ユニットの研究期間は終了となるが、これらのトピックは、地域研究資料の現代的活用、CIASの所蔵資料ならびにデータベースの基盤構築と活用などの観点からいずれも重要な課題として位置付けられうるものであり、今後も引き続き多角的な視点からCIASにおいて検討されるべきであるとの認識に至った。
 また、これらの問題に関連する人々のネットワーク作りや情報共有に向けて努力する必要性が確認され、拡大研究会はその端緒ともなった。とりわけ、著作権については、各国の著作権法、国際的な著作権法に関する知識と、データベース作成の個々のケースに応じて法学研究者による判断や解釈が重要であることがあらためて強く認識された。
 本ユニットが当初設定したように、CIASの研究と、データベース構築の現場と、図書室の活動をつなぐフォーラムとしての役割は、試行錯誤的ではあったが、一定程度果たすことができた。
公表実績: -平成23年度-
・帯谷知可「『トルキスタン集成』こぼれ話(1)―かわりゆくナヴァーイー記念図書館」(CIAS図書室HP、エッセイ「地域研究資料へのいざない」2011年10月13日公開、http://www.cias.kyoto-u.ac.jp/library/essay/#essay05
・帯谷知可「ソ連軍参謀本部作成地形図の著作権問題」CIAS図書室HP、エッセイ「地域研究資料へのいざない」(CIAS図書室HP、エッセイ「地域研究資料へのいざない」2012年2月28日公開、http://www.cias.kyoto-u.ac.jp/library/essay/page2.html
・貴志俊彦「満州国の『弘報』政策と『宣撫月報』」(CIAS図書室HP、エッセイ「地域研究資料へのいざない」2011年11月9日公開、http://www.cias.kyoto-u.ac.jp/library/essay/#essay05・坪井祐司「ある女性の改宗と結婚―『カラム』がみたシンガポールのムスリム社会の一断片―」(CIAS図書室HP、エッセイ「地域研究資料へのいざない」2011年9月12日公開、http://www.cias.kyoto-u.ac.jp/library/essay/page2.html)
・バフティヤル・ババジャノフ(帯谷知可訳)「『トルキスタン集成』によせて」(CIAS図書室HP、エッセイ「地域研究資料へのいざない」2012年1月27日公開、http://www.cias.kyoto-u.ac.jp/library/essay/#essay02 
-平成24年度-
 平成24年度の公表実績は以下の通りである。
刊行物
・帯谷知可編『「トルキスタン集成」が拓く世界Ⅰ』(CIAS Discussion Paper No. 34)、2013年、47頁。
・帯谷知可編『「トルキスタン集成」が拓く世界Ⅱ』(CIAS Discussion Paper No. 35)、2013年、72頁。
・貴志俊彦「『朝日新聞富士倉庫資料』與中日戦争照片審査問題」呉偉明編『在日本尋找中国―現代性及身份認同的中日互同』香港中文大学出版社、2013年、223-244頁。
・篠崎香織「継承と成功―東南アジア華人の『家』づくり」『地域研究』Vol. 13, No. 2, 2013年。
・坪井祐司・山本博之編著『『カラム』の時代Ⅳ』(CIAS Discussion Papers No. 32)、2013年、41頁。
・原正一郎「学術情報システムの機能拡張について―京都大学地域研究統合情報センターの試み―」『情報処理学会研究報告』Vol.2013-CH-95、 No.8、情報処理学会、2012年、1~8頁。
口頭発表
・Shoichiro Hara, Tatsuki Skino, “Spatiotemporal Tools for Humanities、Here and There, Then and Now― Modelling Space and Time in the Humanities,” A Pre-conference Workshop of Digital Humanities 2012, University of Hamburg, 2012/7/16-2012/7/22.
・Shoichiro Hara, “Application of Databases and Resource-sharing Systems,” The First International Conference on Asian Network for GIS-based Historical Studies (ANGIS), University of Toyko, 2012/12/1-2012/12/2.
・Chika Obiya, “Imperial Russia’s Eyes on Central Asia: Turkestanskii Sbornik as a Set of Colonial Knowledge,” Central Asia Studies and Inter-Asia Research Networks: Integrated Study of Dynamism in the Central Asian Regional Sphere, Toyo Bunko, 2013/3/2-2013/3/3.
・Yuji Tsuboi, “Jawi Publications as a Political Arena: Malayan De-colonisation from the Perspective of Islamic Intellectuals,” International Conference on Islam and Multiculturalism: Islam, Modern Science and Technology, University of Malaya, 2013/1/6.
研究成果公表計画
今後の展開等:
-平成22年度-
 次年度傘下で活動する個別共同研究ユニットは「脱植民地化期の東南アジアにおけるムスリム社会の動態」および「『トルキスタン集成』のデータベース化とその現代的活用の諸相」の2つである。
 複合共同研究ユニットとしての研究会を2回開催する。いずれも地域情報学プロジェクトとの合同開催を予定する。具体的テーマは次の通り。
 第1回:個別共同研究ユニットの活動について、ならびに地図資料の著作権について報告・議論
 第2回:個別共同研究ユニットの活動について、ならびに非ローマ字言語とデータベース(仮)について報告・議論
-平成23年度-
 次年度は『カラム』、『トルキスタン集成』、東南アジア映画を研究対象とする3つの新たな個別共同研究ユニットが傘下で活動する予定となっているが、本研究課題としては最終年度となる。これら個々の活動をつなぎながら、とりまとめとしてのワークショップまたはシンポジウムを開催し、地域研究のための資料基盤の形成という観点からCIASのような大学附置の研究センターにおいて遂行可能な、また遂行する意味と価値のあるプロジェクトとはどのようなものかについて、これまでに実現されてきた資料データベース構築の経験と成果もふまえながら議論する場を持つこととする。具体的な予定としては以下の通り。
第1回研究会:3つの個別共同研究からの報告+映画等映像資料をトピックとした研究会
第2回研究会:ワークショップ(シンポジウム)の準備のための議論
ワークショップ(シンポジウム)の開催 
-平成24年度-
 最後に開催した拡大研究会の記録(音声起稿)を、CIAS内においてさらなるディスカッションを経るなどした上で練り直し、何らかの形で公表する可能性を検討している。同時に、著作権に関わる問題については、拡大研究会で提案があったように、関連する研究者(地域研究者、著作権・知的財産権等に関連する法学研究者、世界各国の法律研究者)や権利関連の実務者のネットワークづくりや、関連情報の共有(リンク集の作成やガイドラインの作成など)についても検討している。
 また、平成25年度より同名の複合ユニットが別の代表者のもとで立ち上げられ、CIAS地域情報学プロジェクトとより緊密に結びついた形で次のステップへと継承されることとなった(平成25年度~CIAS共同研究複合ユニット「CIAS所蔵資料の活用」)。