1. ホーム
  2. 研究活動
  3. 過去の研究プロジェクト
  4. 地域研究資料の連関、組織化と利用に関する研究(h22~h23)

地域研究資料の連関、組織化と利用に関する研究(h22~h23)

過去の研究プロジェクト

地域研究資料の連関、組織化と利用に関する研究(h22~h23)

個別共同研究ユニット
代表: 内藤求(株式会社ナレッジ・シナジー・代表取締役)
共同研究員: 相田満(国文学研究資料館日本文学研究専攻・准教授)、川口洋(帝塚山大学経営情報学部・教授)、五島敏芳(京都大学総合博物館・講師)、後藤真(花園大学文化遺産学科・専任講師)、柴山守(京都大学東南アジア研究所・教授)、関野樹(総合地球環境学研究所研究推進戦略センター・准教授)、原正一郎(京都大学地域研究統合情報センター・教授)
期間: 平成22年4月~平成24年3月(2年間)
目的:  地域研究資料の組織化と高度利用の実現を目的とし、以下の3つの研究項目を設定する。
1) 地域研究資源アーカイブの組織化に関する研究:写真資料中心とした地域研究資料の組織化を目指した情報システムについて、メタデータ定義や記述データ作成を、具体的事例から再検討する。
2) 時空間情報の記述法:時空間情報の記述法を定義し、資源共有化システムのメタデータの拡張を図る。
3) オントロジーの適用:現状の資源共有化システムは類義語検索の水準をこえないが、地域研究においては、語彙の意味に基づいた知的検索も重要である。その階梯としてオントロジーの適用を試みる。具体的には以下の項目について研究する。
 ・基本的な主題群(語彙、概念)の抽出、識別子(URI)の付与、公開について
 ・主題群及びデータの関連づけについて
 ・検索手法の高度化について
これらの研究を複合研究プロジェクト等と共同で進めることにより、本研究の成果を「地域情報学の展開」プロジェクトにおいて位置づける。
研究実施状況: -平成22年度-
(1) 「地域情報学の展開」複合研究ユニット、「HGISに関する研究」ユニットおよび科学研究費補助金基盤研究(A)「医療地域情報学の確立:疾病構造に着目した計量的地域間比較研究(代表:原正一郎)」との共同研究会の開催:第1回(8月2日:京都大学)、第2回(10月2日:京都大学)、第3回(11月12:京都大学)、第4回(2月18、19日:北海道大学 スラブ研究センター)。いずれも科学研究費補助金基盤研究(A)「医療地域情報学の確立:疾病構造に着目した計量的地域間比較研究(代表:原正一郎)」との共催。
(2) 本年度は研究会とは別に研究者同士が情報交換を行うための懇談会を4回実施し研究上のアイディアについての技術的な検討を行うなどの実践的な場とした(9月3日、12月27日、2月4日、3月4日)。
-平成23年度-
(1)「地域情報学の展開」複合研究ユニット,「HGISに関する研究」ユニットおよび科学研究費補助金基盤研究(A)「地域保健活動を指標とした『地域の知』の計量的分析手法の開発-東北タイを事例に-(代表:原正一郎)」と共催で研究会を3回の開催した(第1回(7月1~2日:京都大学:発表9件),第2回(12月17日:総合地球環境学研究所:発表8件),第3回(3月20日:京都大学:発表5件)。
(2)本年度も研究会とは別に研究者同士が情報交換を行うための懇談会を9回実施した(4月8日,
5(3)-1
5月14日,6月10日,7月15日,8月9日,10月14日,11月11日,1月20日,2月24日)。
研究成果の概要: -平成22年度-
(1)時空間情報処理に関して、「HGISに関する研究」ユニットおよび「地域研究資料の連関、組織化と利用に関する研究」ユニットとの共同して以下の研究を行った。
・ 時空間情報の記述法の定義
・ 地図データベース(AEIメタデータ構築)
・ 資源共有化システムの機能拡張
・ デジタル地名辞書の拡張
(2)サブジェクトヘッディングのTOPIC MAPS、他の情報へのリンク、Web上での公開について以下の研究を行った。
・ サブジェクトヘッディング(シソーラス)の概念体系に基づくTOPIC MAPS作成
・ サブジェクトヘッディングの概念体系に基づくWikipedia記事の体系化
・ TOPIC MAPSに基づくWebアプリケーションの開発、公開
・ 複数サブジェクトヘディング(NDLSH, LCSH) 間の相互参照
・ 概念体系を利用した問合せの試行
-平成23年度-
(1)地図用の汎用メタデータ(AEI)の構築と,それに基づく地図データベースの試作を行った。
(2)多様な情報をTOPIC MAPSを利用して構造化するとともに,Web上での公開を開始した。
・AGROVOC TOPIC MAPの構築:AGROVOCは、FAO (Food and Agriculture Organization of the United Nations) と CEC (Commission of the European Communities) によって作成された、農業、林業、漁業、食料についての多言語シソーラスである。FAOホームページから、AGROVOCデータ(CSV形式)をダウンロードし、トピックマップおよびそのWebアプリケーションを構築した。アプリケーションは、多言語(現時点で19言語)に対応しており、語の一覧表示、階層を含む語の詳細表示、キーワード検索、tolog問い合わせ、グラフ表示、Webサービスインタフェース等の機能を持つ。
・MANGA TOPIC MAPの構築:まんが「花より男子」の第一巻について、せりふ/オノマトペ、コマ、ページ、巻、人をトピック型とするトピックマップおよびそのWebアプリケーションを構築した。アプリケーションは、現時点で、日本語、英語、タイ語の3つの言語に対応しており、3つの言語によるキーワード検索が可能になっている。それ以外に、せりふ/オノマトペ、コマ、ページ、人、巻の一覧表示および詳細表示、tolog問い合わせ、グラフ表示等の機能を持つ。
・地理学文献目録のTOPIC MAPの構築:地理学文献目録 第12集について、文献、著者、雑誌・出版社、発行年、主題、地域をトピック型とするトピックマップおよびそのWebアプリケーションを構築した。現在、公開のための準備をしている。アプリケーションは、文献、著者、雑誌・出版社、主題、地域の一覧および詳細表示、キーワード検索、tolog問い合わせ等の機能を持つ。
公表実績: -平成22年度-
(1) ホームページの公開(http://www.h-gis.org
(2) 学会発表等
2010年12月1~3日にCity University of Hong Kongで開催されたPNC 2010 Annual Conference において、Application of Spatiotemporal Methods to the Humanities(oral session)とPoster Session の一部をオーガナイズした。
・ Tastuki Sekino, Shoichiro Hara: “Spatiotemporal analysis realized by HuMap and HuTime”.
・ Shoichiro Hara, Tatsuki Sekino: “Metadata for Humanities’ Studies”.
・ Mamoru Shibayama.: “Spatiotemporal Analysis of Historical Maritime Exchanges in Asia Using HuMap and HuTime”.
・ Motomu Naitho.: “Organizing information/knowledge using Topic Maps and Subject Headings”.
じんもんこん2010(2010年12月18~19日, 東京工業大学)
・ 四井 恵介ほか: 明治・大正期旧5万分の1地形図をベースにした地名辞書構築
(3) 論文等(査読有)
1.Motomu Naito: ” Subject Headings make information to be topic maps”, Sixth International Conference on Topic Maps Research and Applications (TRMA 2010), Leipzig, Germany, 2010, Revised Selected Papers, pp.43-51.
2. Shoichiro HARA: “Area Informatics – Concept and Status -”, Culture and Computing, Springer, Lecture Note in Computer Science 6259, 2010, pp.214-228.
3. Charles M, Hachimura K, Hara S., Ogoso T., Aida M., Yasuoka K., Akama R., Shimada M., Tabata T., Nagasaki K.: “The Origins and Current State of Diditization of Humanities in Japan”, Digital Humanities 2010 Conference Abstract, University of London, 2010, pp.68-70.
4. 柴山守:「時空間概念に基づく地域・歴史事象の写像と知識獲得-地域情報学の視点から見る歴史知識学-」、人工知能学会誌、Vol.25, No.1, 2010, pp.42-49.
5. Mamoru Shibayama:” Đô thị hóa ở Hà Nội Thế kỷ 19-21 –Những Biến chuyển Lịchsử– “, Proceedings of Thang Long – Hanoi 1000th Anniversary Celebration Symposium,2010, pp.384-389.6. Kawagichi H.: “Decrease of the child deaths after the introduction of the Vaccination on the outskirts of Edo/Tokyo, Japan” , S. Kurosu, T. Bengtsson, and C. Campbell, ed., Demographic Responses to Economic and Environmental Crises, Proceedings of the IUSSP seminar in 2009, Reitaku University, 2010, pp.252-272.
7. Kawaguchi H.: “Data analysis system for population and family studies in Japan during the 17th-19th centuries”, Kinda, A., T. Komeie, S. Minamide, T. Mizoguchi, and K. Uesugi, ed., Proceedings of the 14th International Conference of Historical Geographers, Kyoto University Press, 2010, pp.152-153.
8. 川口 洋・上原邦彦・日置慎治: 「幕末維新期人口史料」分析システムを用いた世帯構造の比較」、人文科学とコンピュータシンポジウム論文集、Vol.2010, No.15、2010、pp.263-270.
9. 四井恵介、関野樹、原正一郎、桶谷猪久夫、柴山守: 「明治・大正期旧万分の1地形図をベースにした地名辞書構築」、人文科学とコンピュータシンポジウム論文集、Vol.2010, No.15、2010、pp.211-216.
-平成23年度-
(1)ホームページの公開:(http://www.h-gis.org
(2)データベース講習会の開催
(3)出版
・HGIS研究協議会(川口洋(代表)・石崎研二・後藤真・関野樹・原正一郎)編:歴史GISの地平,勉誠出版,283ページ,2012.
(共同研究ユニットメンバ執筆部分:査読付き)
・川口洋,原正一郎:序章 歴史GIS研究の課題
・原 正一郎,関野 樹:時空間情報処理ツールHuTime・HuMapの開発と利用.
・川口洋:展望 デジタル地名辞書の発展に向けて-地理学の立場から-
・柴山 守:ハノイ都市形成過程:GIS-4D分析.
・柴山守:終章 歴史GIS研究の発展に向けて
・柴山守:『地域情報マッピングからよむ東南アジア-陸域・海域アジアを越えて地域全体像を解明する研究モデル』勉誠出版,336ページ,2012.
(4)論文・学会発表等
・PNC2011 Annual Conference :2011年10月19~21日にChulalongkorn University (タイ)で開催されたPNC2011 Annual Conferenceにおいて,Natural History in Humanities とStructurization and Visualization of Multidisciplinary Knowledgeをオーガナイズした。
(研究ユニットメンバ執筆部分)
・Shoichiro HARA: Fulltext Database of Historical Earthquake Documents in Japan.
・Tatsuki SEKINO: Integrated Knowledge for Temporal Analysis – Base Chronological Tables, Index of Events and Calendar Conversion.
・Motomu NAITO: Linking and Using Multilanguage and Multidisciplinary Topic Maps.
・じんもんこん2011(2011年12月10~11日、龍谷大学)
(共同研究メンバ執筆部分:査読付き)
・原正一郎:資源共有化システムの機能拡張に関する試案-地域研究を対象として-.
その他
・貴志俊彦:植民地初期の日本-臺灣間における海底電信線の買収・敷設・所有權
・川口 洋,上原邦彦,日置慎治:寺院「過去帳」に流産・死産児が供養され始めた時期と関連法規,情報処理学会シンポジウムシリーズ,vol.2011, no.8,pp.117-124.
・相田満:「鳥」と「烏」―「朱博烏集」故事の受容をめぐる言説から―,日本古典籍における【表記情報学】の基盤構築に関する研究,国文学研究資料館,PP.20-30.
研究成果公表計画
今後の展開等:
-平成22年度-
① 従来の主題語中心の情報共有を越えた、語彙の意味に基づいた知的検索を実現するために、オントロジーの適用を試みる。具体的には以下の項目について研究を継続する。
・ 基本的な主題群(語彙、概念)の抽出、識別子(URI)の付与、公開
・ 主題群及びデータの関連づけ
・ 特定の地域研究資源の体系化と公開について
・ Webサービスの提供等、検索手法の高度化について
② 成果公開:研究成果は研究会ホームページ(http://www.h-gis.org)より継続的に公開する。
ワークショップを開催し,成果の公表・評価を行う。情報処理学会やECAI/PNCなどと連携を検討する。
-平成23年度-
本研究の成果として,多様な情報を語彙に基づいて構造化する基礎を構築できた。この構造を利用してどのような知識処理が可能であるかが今後の大きな課題として指摘される。一方,時空間情報との関連では,曖昧な位置・時間の処理においても語彙の有用性が指摘された。これらの課題は,24年度の複合件研究ユニットにおいて整理し,地域情報学の可能性をさらに拡げるための足掛かりを構築してゆく予定である。AGROVOC、NDLSH など、主題(語彙)ついての構成要素トピックマップのみならず、今後は、地名辞書、暦日テーブルなどの時空間に関する構成要素トピックマップを構築し、それらと特定問題領域トピックマップの連携方法の確立を目指す。それにより、地域研究資料の連関、組織化が可能になり、有効利用されるようになると考える。