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地域研究の再帰的分析(h21)

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地域研究の再帰的分析(h21)

個別共同研究ユニット
代表: 小森宏美(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)
共同研究員: 阿部健一(総合地球環境学研究所・研究推進戦略センター・教授)、仙石学(西南学院大学法学部・教授)、西芳実(東京大学大学院総合文化研究科・助教)、山本博之(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)
期間: 平成21年4月~平成22年3月
目的:  本研究プロジェクトは、地域研究に分類可能な研究手法のくくりを、個別の研究事例から抽出した上でそれを分析し、その作業を通じて学問領域としての地域研究の展開に寄与することを目的とする。
 ここで改めて指摘するまでもなく、地域研究の射程は対象地域と方法論の両面で限りがない。したがって、地域研究とは何かという問いに対し、①学際的な共同研究の「アリーナ」、②当該地域に関する総合的・包括的な知見に基づいた研究活動、という最大公約数の答えを返すことができるが、この2つを挙げただけでは学問分野としての地域研究の中身について述べたことにはならない。
 本プロジェクトでは、とりわけ②に関し、研究成果に埋め込まれている知見を読み解き、他の学問分野との差異、あるいは地域研究としてのみ語りうる研究領域の抽出とその分析を試みる。
研究実施状況: 以下の通り、2回の研究会を開催した。
①2009年6月13日(於京都大学東京連絡事務所)
・ 中井遼(早大・院)「同一マイノリティ問題下における政党システムの相違:差異法によるバルト諸国比較事例分析」
・ 山尾大(京大・院)「戦後イラク政治をめぐる地域研究と比較政治学の対話:政党政治を中心に」
②2010年2月2日(於東北大学川内北キャンパス)
・ 青山弘之(研究プロジェクト説明)「中東における政治変動と政治的ステレオタイプの変化に関する研究」
・ 青山弘之・浜中新吾「アラブ諸国民の政治的認知地図」
・ 髙岡豊・浜中新吾「パレスチナ人の越境移動に関する意識と経験」
研究成果の概要:  本研究ユニットでは研究目的に従い、①他学問分野との関係、②方法論に対する自覚、③地域研究は第三世界研究か、の3点を柱に、具体的な研究を俎上に載せて議論を行った。そこから見えてきたものは、決して新しくはないが、その概略をまとめると、それぞれ次の通りである。①事例と理論が接合する局面である地位研究からの他学問分野に対する発信の必要(特に地域研究的課題について)、②地域研究的記述の方法はひとつではないものの、優れた「作品」を分類、系統化する作業の必要、③かなり単純化していえば、なぜ「地域」であるかを考えた場合、それは「地域」が「世界」にとって問題であるからである(あるいはその逆も考える必要がある)。この場合の「地域」と「世界」のうち前者を第三世界と位置づけるならば、後者は結局欧米世界ということになってしまう。現代の問題はこうした二項対立によって語りうるものではないことが明らかな以上、「世界」にとって何が問題であるかということを考える際、アメリカやヨーロッパ諸国・地域などを対象とした場合にも「地域」という枠組みの設定は有効である。
公表実績:  本年度第2回の研究会は、複合共同研究ユニットとの共催で、公開で行った。
研究成果公表計画
今後の展開等:
 『地域研究』第12巻(2011年刊行予定)に、特集企画の一部として成果を公開する予定である。