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地域情報学的手法を用いたベトナム・ハノイの都市変容の解明(h20~h21)

過去の研究プロジェクト

地域情報学的手法を用いたベトナム・ハノイの都市変容の解明(h20~h21)

個別共同研究ユニット
代表:  米澤剛(京都大学生存基盤科学研究ユニット・研究員)
共同研究員: 大田省一(東京大学生産技術研究所・助教)、柴山守(京都大学東南アジア研究所・教授)、Venkatesh Raghavan(大阪市立大学大学院創造都市研究科・教授)、Ho Dinh Duan(ベトナム科学院(VAST)・研究員)、升本眞二(大阪市立大学大学院理学研究科・教授)、柳澤雅之(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)
期間: 平成20年4月~平成22年3月
目的:  ベトナムの首都ハノイは,急速な都市化が進む東南アジアでも成長著しい都市の一つであり,同時に約2,000ヵ所の史跡や歴史的建造物,さらには数多くの歴史的資料を残す「歴史都市」でもある。そのハノイは紅河デルタの低湿地帯に立地し,古くから洪水などの自然災害に直面してきた。そのため都市形成には,人間活動だけでなく地形,地質,水文,気候などの自然環境を含めた要因が大きな影響をもたらしていると考える。ハノイの都市形成過程を解明するには,歴史的分析だけで無く,これらの自然科学的要素も含めた時空間的分析が必要である。
 本研究では,収集,蓄積された歴史資料,フィールド調査データ,衛星画像データにもとづいてハノイの19世紀から現在までの都市変容をGISやリモートセンシング等の技術を用いて明らかにする。さらに,地域研究に情報学を適用した「地域情報学的研究手法」を体系化する。
研究実施状況: -平成20年度-
 主な作業として,ベトナム・ハノイの標高測量データ8,000点の入力と解析作業をおこなった.これによりハノイの詳細なDEMを作成することができた。この成果は2008年12月に開催されたGIS-IDEAS2008国際シンポジウムで発表した。また,全体の成果報告を兼ねた研究会を2009年2月に京都大学東南アジア研究所において開催した。2本の成果報告(ハノイDEMによる地形分析,ハノイ大堤防資料収集結果と分析結果)と1本の特別報告(ハノイ旧市街地の形成過程)をおこなった。
-平成21年度-
 主な作業として、ベトナム・ハノイの標高測量データ7,000点の入力と解析作業をおこなった.これによりハノイの詳細なDEMを作成することができた。また、ハノイ全域のボーリングデータ(120本)を用いて地質分析、ハノイの建物区画データを抽出してGISデータの作成をおこなった。この成果は2009年10月に開催されたPNC2009国際シンポジウム、2010年2月にベトナム・ハノイで開催された国際ワークショップで発表した。また、全体の成果報告を兼ねた研究会を2009年6月、2010年1月に京都大学地域研究統合情報センターにおいて開催した。3本の成果報告(ハノイDEMによる地形分析、ハノイの建築史、ハノイ大堤防資料収集結果と分析結果)と1本の特別報告(ベトナムの広域地質変遷)をおこなった。
研究成果の概要: -平成20年度-
 研究成果は,以下の3点が上げられる。
(1) ベトナム・ハノイの詳細DEMの作成・解析。
(2) 研究成果の発表・公開。
 (1)については,研究協力者から入手したハノイの測量データ約8,000点を使って詳細なDEM(デジタル数値地図)を作成した。作成したDEMの解像度は約2mである。これは現在日本で一般的に利用できる国土地理院の数値地図50m標高(解像度50m)よりも解像度がはるかに高いものである。以前作成したDEMに加え,ハノイの6km×6kmの範囲をカバーすることができた。これはハノイ中心部のほぼ全域のDEMを作成できたことになる。
 (2)については,(1)の研究成果を中心に2本の執筆,2つの学会発表をおこなった。これらの研究成果は,いづれも高い評価を受けており,特に今後の研究であるハノイの100年間の地形変化の解析を望む声が多かった。来年度は,この地形解析を中心に研究を行い,同じく投稿論文・学会発表という形で研究成果を公開する予定である。-平成21年度-
研究成果は、以下の4点が上げられる。
(1) ベトナム・ハノイの詳細DEMの作成・解析。
(2) ハノイ全域のボーリングデータ解析。
(3) ハノイ中心部の建物GISデータの作成。
(4) 研究成果の発表・公開。
(1)については、研究協力者から入手したハノイの測量データ約7000点を使って詳細なDEM(デジタル数値地図)を作成した。作成したDEMの解像度は約2mである。以前作成したDEMに加え、ハノイの10km×10kmの範囲をカバーすることができた。(2)については、研究協力者から入手したハノイ全域のボーリングデータ約120本を使って地質構造を再現するための地質分析をおこなった。現在は各ボーリングデータの地層の層厚から地質層序を推定している。(3)については、ハノイ中心部の建物データ20000個をCADデータとして建物区画地図から抽出し、3次元のGISデータ(ポリゴン)を作成した。以前作成した30000個のGISデータを含めて約50000個のGISデータを作成することができた。(4)については、(1)~(3)の研究成果を中心に3本の論文執筆、3つの学会・シンポジウム発表、1本の執筆をおこなった。
公表実績: -平成20年度-
Go Yonezawa, Mamoru Shibayama, Susumu Nonogaki, Shinji Masumoto, Venkatesh Raghavan and Truong Xuan Luan, Hanoi Urban Transformation in the 19-21 Centuries – Topographic changes and 3-D Modeling -, 2008.12, Proceedings of the GIS-IDEAS 2008, pp.. (シンポジウム)
米澤剛.2008年8月.「論説「ハノイの三次元都市モデルの構築に向けて」」勉誠出版『アジア遊学113』pp.168-174. (出版物)
米澤剛.2008年8月.「コラム「最初の一歩はグーグルアースから」」勉誠出版『アジア遊学113』pp.204-205.(出版物)
米澤剛,野々垣進,柴山守,ベンカテッシュ ラガワン,升本眞二.2008年6月.「ベトナム・ハノイの都市変容と地形変化」,『情報地質』, 19(2),pp.112-113.(学会発表) -平成21年度-
・米澤 剛,柴山 守(2009年)ハノイの地形と水文環境 -3次元都市モデルの構築-.情報処理学会研究報告2009 ,2009-CH-83(19) :1-7.(論文、学会発表)
・Yonezawa G. (2009)Generation of DEM for Urban Transformation of Hanoi, Vietnam.Kyoto Working Papers on Area Studies (62) :1-10.(論文)
・Yonezawa G. (2009)3-D Topographical Analysis of Hanoi, Vietnam.東南アジア研究 46(4) :519-531.(論文)
・米澤 剛, 野々垣 進, 柴山 守, ベンカテッシュ ラガワン, 升本眞二(2009)ベトナム・ハノイにおける地形・地質情報の活用. 第20回 日本情報地質学会総会・講演会(学会発表).
・Yonezawa G. (2010)Hanoi Topological Analysis and 3D modeling.International Workshop 2010 on Area Informatics -Exploring Humanosphere and Urbanization of Hanoi-(国際シンポジウム)
・米澤 剛(2010)研究レポート:変化を読む1「地形から見るハノイの都市変遷」.シーダー地域環境情報から考える地球の未来,昭和堂.(出版物)