代表: | 小森宏美(京都大学地域研究統合情報センター・准教授) |
---|---|
共同研究員: | 石田信一(跡見学園女子大学・教授)、帯谷知可(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)、久保慶一(早稲田大学政治経済学術院・准教授)、仙石学(西南学院大学法学部・教授)、中田穂(名古屋大学法学研究科・教授)、藤森信吉(北海道大学スラブ研究センター・研究員)、林忠行(北海道大学スラブ研究センター・教授)、平田武(東北大学大学院法学研究科・教授)、藤嶋亮(東京大学大学院法学研究科・ポス・ドク)、溝口修平(東京大学大学院総合文化研究科博士課程・院生) |
期間: | 平成19年4月~平成21年3月 |
目的: | 本研究会は、旧社会主義国(旧ソ連及び東欧)を対象とした政党・選挙データベースの作成およびその分析手法の検討を目的とする。旧社会主義諸国については、民主化・市場経済化を経てすでにEU加盟を実現した東中欧諸国、近年、相次いで政権交代が起こったグルジアやウクライナ、さらに大統領が強大な権限を有するロシアと、現時点での政治体制をみてもわかるように、同列に論じることのできない側面もある。とはいえ、そもそも比較研究には信頼に値するデータが不可欠であるにもかかわらず、この地域に関しては、比較可能な共通項目でのデータ蓄積が十分ではない。政治学や経済学などを主たる専門とする研究者との対話を可能にするためにも、こうしたデータの共有は必要である。 |
研究実施状況: | -平成19年度- 本年度は、次の通り、DB作成のための基本方針等につきまず議論し、具体的な事例の報告を受ける中で浮かび上がる問題点について解決した。 《研究会実施状況》 ●第1回2007年6月9日(京都大学東京連絡事務所) ・仙石学(西南学院大学):「ポスト社会主義国の政党・選挙データベース作成のための基本方針」 ・林忠行(北海道大学):「選挙データからみたチェコとスロヴァキアの政治」 ●第2回2007年10月7日(京都大学東京連絡事務所) 「データベース作成作業の経過報告、および問題点の提起」 ・林忠行(北海道大学): スロヴァキアの事例 ・平田武(東北大学): ハンガリーの事例 ・仙石学(西南学院大学): ポーランドの事例 ●第3回2008年2月16日、17日(北海道大学スラブ研究センター) ・小森宏美(京大地域研) : エストニアの事例 ・石田信一(跡見学園女子大) : クロアチアの事例 ・久保慶一(早稲田大) : セルビア・モンテネグロの事例 -平成20年度- 本年度は3回の研究会を実施し、加えて、最後の研究会で、総合的に集積したデータの検討を行った。 ●2008年6月7日(京都大学地域研究統合情報センター) ・藤嶋亮(神奈川大学):ルーマニアの事例 ・溝口修平(東京大学・院):ロシアの事例 ・中田瑞穂(名古屋大学):チェコの事例 ●2008年10月18日(早稲田大学) ・藤森信吉(北海道大学スラブ研究センター):ウクライナの事例 ・小森宏美(地域研):ラトヴィアの事例 ●2009年1月10日(京都大学地域研究統合情報センター) ・中井遼(早稲田大・院):リトアニアの事例 ・総合検討 |
研究成果の概要: | -平成19年度- (1)収集データの項目等に関し、ガイドラインを作成した。本ガイドラインは今後の事例報告の中でさらに修正予定。 (2)スロヴァキア、ハンガリー、ポーランド、エストニア、クロアチア、セルビア・モンテネグロの事例に関し、選挙制度の変遷、主要政党の概略、体制転換後の選挙動向について、上記ガイドラインに沿ってデータが収集された。また、現地語を日本語及び英語に訳す場合の問題点について検討し、歴史的背景から、原語が比較的近くても、概念の内容が異なることなど、注意すべき点が明らかになった。 -平成20年度- 旧ソ連・東欧地域に関しては、比較可能な共通項目でのデータ蓄積が十分ではない状況の中で、データの蓄積と共有は、本研究会を通じてある程度進めることができたと思う(ただし、例えば、旧東欧ではブルガリアのデータが欠けている等の不十分さは残った)。 なお、データベースで検索可能になるのは、社会主義体制が解体し自由選挙が行われるようになった東中欧および旧ソ連諸国において、2008年までに行われた選挙ならびに選挙に参加した主要な政党に関するデータである。研究会終了後のデータの更新は課題の一つとして残された。 |
公表実績: | 最終成果であるデータベースについては、必要データがすべてそろい、今年度中の公開を目標に準備中である。また、研究会の副産物として『ポスト社会主義諸国政党・選挙ハンドブックI』(CIASディスカッションペーパー no. 9)を3月中に刊行した。 |
研究成果公表計画 今後の展開等: |
複合ユニット「『民主化』と体制転換の比較研究」の活動を通じて、ラテンアメリカ諸国との比較可能性を追求し、また、上記7.で記したハンドブックの続編を刊行する。さらに、公開後のデータベースの更新方法等について検討する場を設ける。 |