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ヨーロッパ社会の重層化・変容に関する基礎的研究―分権化と地域再生の行方(h17~h18)

過去の研究プロジェクト

ヨーロッパ社会の重層化・変容に関する基礎的研究―分権化と地域再生の行方(h17~h18)

代表: 宮島喬(法政大学)、
若松邦弘(東京外国語大学)、
小森宏美(地域研究統合情報センター
共同研究員:  
期間: 平成17年4月~平成19年3月
研究目的:  本研究は先進諸国に現在生じている社会変化の特徴を、ヨーロッパの事例を比較検証することで明らかにする。文化、市場、福祉、民主主義、参加、市民権、言語、マイノリティ等を代表的キーワードとする先進諸国での争点群は、社会における組織化の様態変化を背景としている。組織化の基盤として絶対的であった国民国家の地位が揺らぎ、一方で市場や国際制度などの超国家空間、他方で従来は国民国家のサブユニットとされてきた地域・地方空間の意味が増大している。それぞれ「国際統合」、「分権化」とされるこれらの変化について、本研究は伝統的に社会諸科学が強みを発揮してきた後者の側面、すなわち領域的には国民国家より下位レベルの空間を核に生じている社会の再編に視座の中心を置く。この認識のもと、本研究は国民国家を分析の重要な参照枠としつつ、先進社会の組織化にみられる新たな特徴を文化、社会、政治の諸観点から分析する。
最終度の研究実施状況:  本年度は「ヨーロッパ地域問題研究会」との共催で以下の3回の研究会を実施した。
・第1回(5月27日)①中力えり(和光大学)「メタファーとしての『地域』――アルザスの事例から」②富田理恵(東海女子大学)「国家なきネイション、スコットランド――その歴史と再生」
・第2回(12月9日)小森宏美「移民か、少数民族か-エストニアのロシア語系住民をめぐる諸問題」
・第3回(2月17日)①西脇靖洋(上智大学・院)「ポルトガルの移民政策に関する一考察――政策決定における国際的・歴史的要因」②若林広(東海大学)「ベルギーの国家再編――1993年憲法改正移行の展開と展望」
研究成果の概要: 本研究では、「ヨーロッパ」を対象とする研究者間の従来の弱いネットワークを補強し、ディシプリンをまたいでの議論を継続的に行うことができた。その中で問題となった「地域」という分析枠組みに関しては、機能・制度としての「地域」分析が中心になりがちな政治学に対し、理念やメタファーとしての「地域」という議論や、あるいはアイデンティティ、歴史的要因の問題が提起された。また、ヨーロッパの中の「東」と「西」を対象とする研究者間の議論を深化させることを通じて、国民国家の問題に還元されがちな議論を分節化する視点を得られた。  
研究成果公表計画
および今後の展開等:
 研究会メンバーの一部により、人文書院より19年に本研究の成果をまとめたものを出版予定である。また本研究会の継続と議論の展開を目的として、CIASプロジェクト:テーマ「リージョナリズムの歴史制度比較」に応募を予定している。