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2011/09/25 第2回東アジア勉強会

日時:2011年9月25日(日)14:00~18:15
場所:京都大学 総合研究2号館 4階 第一講義室(AA401)
   総合研究2号館の北口もしくは西口よりお入りください。南口は土日は開放されていません。

スケジュール
14:00 開場 
14:30 発表1 前川佳世子(京都大学ASAFAS) 「台湾における霊媒の変容」 
15:15 討論
16:15 休憩  
16:30 発表2 木下 光弘(滋賀県立大学)「ウランフ崇拝―ウラディン・ボラグ氏の論文を通して―」
17:15 討論
18:15 終了 

●研究会終了後(18時半~)、懇親会をおこないます。こちらもご参加ください。

●発表1要旨  前川佳世子(京都大学ASAFAS)「台湾における霊媒の変容」
 童乩(タンキー)信仰は、かつて中国大陸東南沿岸部から移民した人々が、移民先に持ち込んだシャーマニズムの一種で、現在でも台湾や東南アジア各地に存在している。
 発表者は童乩信仰に関心を持ち、現在でもその信仰が盛んであるとされる台湾を調査地に選んだ。台北においては、「神檀」という、一般の住宅内で神明を祀り人々に開放している宗教施設で、童乩が人々の悩みを問神(霊媒を通じて神と接触すること)し、儀礼をおこなっていた。
 他方、1980年代に、台湾各地で「霊乩」(リンジー)と名のる霊媒が出現した。神が憑依すると血だらけになり、激しいトランス状態になる童乩とはことなり、霊乩は、短時間で神が憑き、神が出て行くときの動作も穏やかである。また、霊乩のなかには、神に憑依されると、歌い、踊る者もいる。
 本発表は、童乩のいる台北の「神檀」のイメージと霊乩出現の背景を明らかにすることにより、台湾における大きな社会変動と宗教の関係を描くことを目的とする。
具体的には、現代台湾の都市における童乩の描かれ方を知るために、新聞における「神檀」の記事を詳細に検討し、文献資料とフィールドワークによって童乩と霊乩の特徴をあげ、その比較をおこなう。これにより、歴代の為政者から「迷信陋習」とされ、抑圧されながらも現代まで生きながらえてきたこの霊媒信仰の変容の過程を描きたい。

●発表2要旨  木下光弘(滋賀県立大学)「ウランフ崇拝―ウラディン・ボラグ氏の論文を通して―」
 ウランフ(烏蘭夫)は、内モンゴルにおけるモンゴル人のエスニック・リーダーであるだけでなく、中国共産党の中でもきわめて高い地位の指導者であった。そのようなウランフという存在を、モンゴル人や漢人はそれぞれどのように評価しているのであろうか。この問題を近年見られる「ウランフ崇拝」という現象を通して、分析を試みたのが、ウラディン・ボラグ氏である。そこで、私が現在翻訳作業を進めているこのボラグ氏の論文‘The Cult of Ulanhu’(Uradyn E. Bulag 2002. “The Mongols at China‘s edge” chapter7)の内容を紹介するとともに、そこから見えてくる「ウランフ像」を提示する。そして、今後の私の「ウランフ研究」「中国民族問題研究」の課題などについてお話させていただきたい。

(貴志俊彦)