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地域研究方法論

地域研究方法論プロジェクト

地域研究方法論


複合共同研究ユニット
代表: 山本 博之(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)
共同研究員: 西 芳実(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)、村上 勇介(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)、柳澤 雅之(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)、山本 博之(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)
期間: 平成25年4月~平成28年3月(3年間)
目的:  さまざまな研究者によって行われている地域研究の手法を個々の研究者の「名人芸」として済ませるのではなく、対象地域や分野の違いを超えて共有・利用が可能になるような形に洗練させるための基礎的な調査を行う。昨年度までの3年間に行われた地域研究方法論の共同研究では、主に大学院教育における地域研究の方法について検討し、その結果を雑誌『地域研究』(第12巻第2号)の「総特集 地域研究方法論」で発表した。本共同研究では、引き続き大学院教育における地域研究のあり方について具体的な事例に即して検討を続けるとともに、(1)多様な専門性を持つ研究者が協働する仕組みとしての地域研究の歩みを踏まえた地域研究の意義と方法、(2)研究者以外の専門家・実務者による成果の活用を意識した地域研究の方法、(3)自身が社会生活する存在としての地域研究者の生活と研究の両立などの諸課題についての検討を通じて、学術研究と社会のそれぞれにおける地域研究(者)の位置づけを考える。
研究実施状況: -平成26年度-
 本テーマに参加する個別ユニットの代表者と個別に研究打ち合わせ等を行うことを通じて、地域研究が置かれている課題とそれへの対応について検討した。また、地域研究コンソーシアム(JCAS)の地域研究方法論部会と連携して、JCAS加盟組織のネットワークを活用した研究集会・ワークショップ等を開催した。JCASおよび個別ユニット「官公庁や民間企業やマスコミと接合される地域研究の方法論の検討」と共同で実施した公開シンポジウム「世界はレイシズムとどう向き合ってきたか:地域研究とジャーナリズムの現場から」についてはJCASコラボレーションシリーズにより報告書を刊行した。JCAS次世代ワークショップでは「キャリアパスとしての有期雇用を考える」を共催し、企画者らより報告書が刊行された。
研究成果の概要: -平成26年度-
 政府・マスコミ・学術研究などの従来の情報の発信源の権威が低下し、他方でインターネットに代表される情報発信の経路の多様化を迎え、「正しさ」を決められないという状況を迎えている。他方で、こんなところに日本人がいるのかと思うような世界の隅々にテレビカメラが入り、インターネットを通じて世界各地から情報が発信され、今日の世界について過剰な情報が溢れる中で、情報は「わかりやすさ」によって淘汰されていくことになる。しかし、わかりやすい情報だけでは複雑な世界の現実を捉えることはできない。多種多様な情報を収集・整理し、それをもとに世界のあり方を捉えるには、媒体ごとにどのように情報が発信されているかを理解するとともに、それらの情報をもとにどのようにして現実世界の様子を捉えるかという工夫が必要になる。本複合ユニットでは、メディアによる情報の発信と受信、現場での協働を通じた実践知の把握、情報をもとにした物語の読み解きの3つの角度から、「地域研究的想像力」のあり方について検討した。また、本複合ユニットが共催したJCAS次世代ワークショップ「キャリアパスとしての有期雇用を考える」では、「有期雇用」という働き方を歴史的文脈や世界の多文化的環境の中に置いて捉え直すことで、期限つきで関わるという状況がより多くの知識や技能の獲得や能力の発揮に結びつく可能性や、それを可能にする人々や社会の工夫について検討した。討論を通じて、社会の中で自分の価値が何かを常に考えるという方向と、自分が価値を持つ社会はどのような範囲で、それはどのような性格の社会なのかを考えるという方向の2つのアプローチの違いが明らかになった。
公表実績: -平成26年度-
・宮原暁・山本博之・石丸次郎・立岩礼子・西芳実編『世界はレイシズムとどう向き合ってきたか:地域研究とジャーナリズムの現場から』(JCAS Collaboration Series 10)、地域研究コンソーシアム、2015年3月。
・伊藤未帆編著、鵜戸聡・後藤絵美・谷川竜一・福田州平著『キャリアパスとしての有期雇用を考える―「縁」にかかわる世界の経験を通して』(JCAS次世代ワークショップ報告書)、2015年3月。
研究成果公表計画
今後の展開等:
-平成26年度-
 引き続き本テーマに参加する各個別ユニットの研究内容を橋渡しする形で研究会を組織し、情報過多の時代における物語と情報と現場の関わりについて考える。複合ユニットとしては、引き続き災害対応過程を対象とするとともに、他の複合ユニットとの連携の上で、研究の実践の現場で立ち上がる地域研究のありかたを考える。