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相関地域研究プロジェクト

体制転換における軍と政党―中東とラテンアメリカの比較研究ー(h27)

個別共同研究ユニット
代表: 村上 勇介(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)
末近 浩太(立命館大学国際関係学部・教授)
共同研究員: 内田 みどり(和歌山大学教育学部・教授)、浦部 浩之(獨協大学国際教養学部・教授)、遅野井 茂雄(筑波大学大学院人文社会科学研究科・教授)、吉川 卓郎(立命館アジア太平洋大学アジア太平洋学部・准教授)、末近 浩太(立命館大学国際関係学部・教授)、住田 育法(京都外国語大学外国語学部・教授)、仙石 学(北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター・教授)、高橋 百合子(神戸大学大学院国際協力研究科・准教授)、田中 高(中部大学国際関係学部・教授)、浜中 新吾(山形大学地域教育文化学部・准教授)、林 忠行(山形大学地域教育文化学部・教授)、松尾 昌樹(宇都宮大学国際学部・准教授)、村上 勇介(京都大学地域研究統合情報センター・准教授)
期間: 平成27年4月~平成28年3月(1年間)
目的:  本研究は、2010年末からの「アラブの春」と呼ばれる政治変動を経た中東と、発展途上地域においてもっとも早く体制転換を経験したラテンアメリカを比較し、体制転換の過程とその分析枠組を系統的に究明することを目的とする。体制転換の過程を比較し、両地域における共通性と相違点を明らかにし、地域を超えた共通性や相違の有無を検証し、共通性や相違が発生する背景や条件、過程を探究する。そうした作業を行ったうえで、両地域の地域性について再考する。中東で体制転換が起きた国は、20世紀の後半に共和制への移行を経験した国々で、そこで成立した権威主義体制が、新自由主義を含むグローバル化の波の中で正統性を失っていた。開発モデルの破綻を背景にしたラテンアメリカの体制転換過程とは具体的な発現現象は異なるものの、体制転換の原因として、社会経済面での構造的な背景があることは共通している。そこで、本研究では、これまでの研究で体制転換において重要や役割を果たしたことが分かっている軍と政党に焦点をしぼり、体制転換プロセスについて地域間の比較分析をより詳細に実施し、体制転換の背景と過程を究明するとともに、今後の展望について考察をくわえる。
研究実施状況:  中東に関する視点からのアプローチは、日本比較政治学会2015年度大会において「社会運動の比較政治学」と題した部会を組織し(6月28日)、国家—社会関係を規定する非公的アクターとしての社会運動の発生要因およびその政治的な帰結(民主化、内戦、再独裁化など)を規定する要因に関して、ラテンアメリカ、東南アジアの事例と比較する分析を行った。
 他方、ラテンアメリカからの探究は、政治経済の今日的位相を検証する過程で、ラテンアメリカにおける政党のあり方を分析し、1970年代末から90年にかけての体制移行期の時期との比較そして軍をとりまく状況の違いについて分析する形で実施した。日本ラテンアメリカ学会西日本部会研究会において「低成長期ラテンアメリカの政治経済」を開催した(12月19日)ほか、ラテンアメリカの政軍関係を分析するうえで重要な事例であるコロンビア、アルゼンチン、グアテマラについて、専門家を招聘したセミナーを開催し(それぞれ6月1日、1月23日、3月5日)、体制移管と軍の関係性について検討した。
研究成果の概要: 中東に関する視点からのアプローチは、日本比較政治学会2015年度大会において「社会運動の比較政治学」と題した部会を組織し(6月28日)、国家—社会関係を規定する非公的アクターとしての社会運動の発生要因およびその政治的な帰結(民主化、内戦、再独裁化など)を規定する要因に関して、ラテンアメリカ、東南アジアの事例と比較する分析を行った。 他方、ラテンアメリカからの探究は、政治経済の今日的位相を検証する過程で、ラテンアメリカにおける政党のあり方を分析し、1970年代末から90年にかけての体制移行期の時期との比較そして軍をとりまく状況の違いについて分析する形で実施した。日本ラテンアメリカ学会西日本部会研究会において「低成長期ラテンアメリカの政治経済」を開催した(12月19日)ほか、ラテンアメリカの政軍関係を分析するうえで重要な事例であるコロンビア、アルゼンチン、グアテマラについて、専門家を招聘したセミナーを開催し(それぞれ6月1日、1月23日、3月5日)、体制移管と軍の関係性について検討した。
公表実績: ・日本比較政治学会2015年度大会・部会「社会運動の比較政治学」
・松尾昌樹・岡野内正・吉川卓郎『中東の新しい秩序(「グローバル・サウス」第3巻』ミネルヴァ書房, 2016年.
・久保慶一・末近浩太・高橋百合子『比較政治学の考え方』有斐閣, 2016年.
・末近浩太「クサイルからの道:ヒズブッラーによるシリア「内戦」への軍事介入の拡大」『中東研究』第522号(2月), Vol. 3, 2015/16, 2016年, pp. 52-64.
・末近浩太「分断社会における国軍の相貌:レバノンにおける国民統合と国家建設のトレード・オフ」酒井啓子編著『途上国における軍・政治権力・市民社会:21世紀の「新しい」政軍関係』晃洋書房, 2016年, pp. 168-193.
・村上勇介・帯谷知可編『融解と再創造の世界秩序(「相関地域研究」第2巻)』青弓社, 2016年.
・松尾昌樹「湾岸アラブ諸国における移民・労働市場改革:バハレーンの事例」『アジア・アフリカ研究』第55号第3巻(417号), pp. 1-26.
研究成果公表計画
今後の展開等:
 専門誌での特集企画を計画する。また、平成28年度からの個別共同研究「低成長期の発展途上諸国における政治経済社会変動の地域間比較研究」において、比較研究分析を深化させる。