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災いへの社会的対応

新規プロジェクト

災いへの社会的対応

代表 西 芳実
研究目的:  国境を越えた人の移動と各国内での都市化の進展により社会的流動性が高まっている今日の世界において、国別に制度化された災害対応では十分に対応できないリスクへの対応が求められているが、世界には地域的・伝統的なものを含めて災いへの対応の様々な経験の蓄積がある。地域差を越えて共有できる標準化された災害対応の仕組みづくりの重要性も念頭に置きながら、そこから零れ落ちる地域や時代によって異なる災害対応の実践の事例を収集し、その意義を検討することを通じて、現代世界にあらわれる多様な災いに社会が対応する際のレジリエンスを高めることを目的とする。
研究意義:  今日の世界では自然災害への対応に関心が集まり、制度的なリスク対応を進めることによる災害対応が取り組まれている。ただし、制度化による対応は災害発生時に生じる想定外の事態に必ずしも十分に対応しきれない。国―地方という階層的なリスク対応や、公教育や法制度によるリスク対応、域外や国外からの支援を活用したリスク対応のような制度化されたリスク対応と異なるリスク対応に注目し、そこで情報や経験がどのように共有・継承されているか、また、それらのリスク対応が制度化されたリスク対応をどのように補完しているかを明らかにすることは、社会のレジリエンスを高める意義がある。
期待される成果:  人びとが日常的に災害・リスクと認識しない事柄あるいは日常的な活動の中に災いへの対応を読み解くことにより、災害対応の地域研究の幅を広げる。たとえば、国民国家を基盤とする国際社会による対応とは異なるオルタナティブなリスク対応の事例や、制度化された社会の公的なリスク対応とは異なり言語に依存しない情報共有や経験の継承を通じたリスク対応の事例に関する研究書刊行によって成果公開することが期待される。