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CIAS所蔵資料の活用

新規プロジェクト

CIAS所蔵資料の活用

代表 柳澤 雅之
研究目的: 京都大学地域研究統合情報センター(CIAS)には、映像・画像・フィールドノート・古文書・公文書・新聞情報・統計資料等を組み合わせた、地域研究関連のさまざまなデータベースが整備されている(http://www.cias.kyoto-u.ac.jp/database/)。複合共同研究ユニット「CIAS所蔵資料の活用」では、こうしたCIASが所蔵する資料を利用し、情報学の技術を援用した新しい地域研究(地域情報学)の展開を目的とし、同時に、関連するプロジェクト(個別共同研究ユニット)の応募を歓迎する。「CIASが所蔵する資料を利用した」とは、CIAS所蔵資料のみに依拠するのではなく、他の資料と組み合わせた新しい研究の展開も含まれる。また、「新しい地域研究の展開」とは、地域研究のなんらかの特定課題の解決に寄与することだけでなく、データベースを活用した新しい研究アプローチの検討をも含む。これらを通じ、地域研究の促進に必要な、データの収集、共有、分析、発信の方法を検討し、地域情報学の展開を促進することが本複合共同研究ユニットの目的である。
研究意義: 地域研究では通常、ある特定の資料群だけに依拠するのではなく、多様な情報を組み合わせることで課題にアプローチすることが多い。現場での計測や観察記録・写真・動画といった、研究者によるファーストハンドの記録に加えて、中央・地方政府に保管されている行政文書や古文書、現在および過去の新聞・雑誌記事、各種統計資料、その他さまざまな資料を組み合わせることで、分野を超えた地域研究の課題にアプローチする。CIASではこれまで、そうした多様な地域研究関連の資料をデータベースとして蓄積してきた。CIASのデータベースは、研究プロジェクトごとに収集・整理されたデータベースや貴重な研究資料群を汎用的に利用できるよう整備されたデータベースと、情報学の技術を援用しながらさまざまなデータを組み合わせることで新しい地域研究の課題にチャレンジしようとする地域情報学プロジェクトのデータベースとがある(http://www.cias.kyoto-u.ac.jp/project/areainfo)。本複合共同研究では、とくに地域情報学プロジェクトに焦点をあて、新しい地域研究の展開を可能にすることに意義がある。
期待される成果: 地域情報学プロジェクトとして、CIASで現在とくに力を入れているのは、オンライン上での新聞記事を自動収集・整理し、地域研究者の知見と合わせて、有事の利用可能性を高めたデータベースの構築や、選挙制度や経済システムなどの政治経済条件の異なる国ごとの選挙結果を比較検討するためのデータベース、国・地域別に収集したデータを地図上に可視化し多様なデータの中から関連する要因をデータマイニングの手法と研究者の洞察力の両方から見出そうするデータベース等である。このほかに、空間・時間セマンティックに基づいたデータ探索インターフェースの構築や、フィールドノート記録や帝政ロシアの膨大な資料群といった、バイアスのかかりやすい記録を汎用的に利用可能な形で提示し、入手可能な他の資料と組み合わせることで現代的な利用を考えるためのデータベースの構築も進めている。新しいデータベースの構築のほかに、地域研究の課題に即したデータベースの利活用についての新しい知見が得られた場合、地域研究や情報学分野での研究論文として公表することが期待される。