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地域研究統合情報センターについて

 京都大学地域研究統合情報センター(地域研)は2006年4月に創設されてから10年が過ぎました。以来、「地域研究情報資源の統合と共有化」と「相関型地域研究の推進」を目標に掲げた研究を推進し、2010年度には「共同利用・共同研究拠点」となり、現在に至っています。

 地域研究に関わる資料は文字・画像・動画・音声など多様であり、しかも多くは複数の研究機関に分散して所蔵されています。このように多様かつ分散している研究資料を情報学の手法を用いて統合し、研究者をはじめとする地域に関わる人々の利用に供することが「地域研究情報資源の統合と共有化」です。地域研では、所蔵資料を中心として多様な資料のデータベース公開を進めています。また、その過程で蓄積されたデジタル化やデータ作成に関する経験の共有を講習会等により進めています。さらに、ネットワーク上に分散している研究機関のデータベースの統合と共有化を目指した「地域研究資源共有化データベース」を公開しています。現時点で、地域研究統合情報センター、東南アジア研究所、国立民族学博物館、総合地球環境学研究所、北海道大学スラブ・ユーラシア研究センター、東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、カリフォルニア大学バークレイ校東アジア 図書館の計51データベースの共有化を実現しています。

 一方、国境や文化圏を越えるヒト・カネ・モノの量・速度が増大している今日、一地域の変動は直ちに周辺地域あるいは全世界に波及します。地域の理解を目的とする地域研究は、グローバルとローカルをリンクしながら地域をデザインする学問への脱皮を迫られています。そのためには、比較を通じて地域の個性を把握するとともに、各地域がどのように関わりあいながら世界を構成しているかという研究の視点が不可欠です。この「比較」と「関係性」の二つをキーワードとした比較研究の試みが「相関型地域研究」です。このような研究を進めるには共同研究が不可欠です。地域研は、共同利用・共同研究拠点として、公募制の共同研究を推進しています。2013年度より、「『地域』を測量(はか)る―21世紀の『地域』像」など4つのプロジェクトを開始しました。2014年度は28課題を採択し、200名以上の共同研究員が参加して、専門分野と地域を横断する学際的研究を展開しています。さらに地域研は、全国97(2014年4月在)の地域研究関連組織が加盟する「地域研究コンソーシアム」(JCAS)の事務局を担い、「地域研究メールマガジン」の配信、地域研究関連シンポジウムや研究会の案内、JCAS関連組織プロジェクトや公募情報を発信など、地域研究コミュニティーの発展に貢献しています。

 「地域研究情報資源の統合と共有化」による情報学システムの成果を、「相関型地域研究の推進」に積極的に応用することを目指して、2010年度に地域情報学プロジェクトを発足させました。共同研究等による成果のデータベース公開を支援するMyデータベースシステムの提供、それを利用した災害復興マッピングデータベースの公開やフィールドノートマルチメディアデータベースの公開など、他の地域研究機関にはない地域研独自の成果を上げています。

 地域研は、情報システムによるネットワークと共同研究に関わる人々によるネットワークに支えられて、共同利用・共同研究拠点としての責務を果たすとともに、独創的な地域研究を展開して参りました。この地域研の成果を継承し、さらに発展させて行くには、地域研究コミュニティーの皆様とのより緊密な連携・協働が不可欠です。ますますのご支援を賜りますよう、よろしくお願い申しあげます。

2016年4月
センター長  原 正一郎

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