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宗教実践の時空間と地域

相関地域研究プロジェクト

宗教実践の時空間と地域


複合共同研究ユニット
代表: 林 行夫(京都大学地域研究統合情報センター・教授)・小林 知(京都大学東南アジア研究所/地域研併任・准教授)
共同研究員: 今中 博之(アトリエ インカーブ・代表取締役)、桶谷猪久夫(大阪国際大学国際コミュニケーション学部・教授)、片岡 樹(京都大学大学院アジア・アフリカ研究研究科・准教授)、川田 牧人(成城大学 文芸学部文化史学科・教授)、熊谷  誠慈(京都大学こころの未来研究センター・特定准教授)、藏本 龍介(国立民族学博物館・外来研究員)、小島 敬裕(京都大学東南アジア研究所・学振特別研究員 (PD))、小嶋 博巳(ノートルダム清心女子大学文学部現代社会学科・教授)、小林 知(京都大学東南アジア研究所・准教授)、志賀 市子(茨城キリスト教大学文学部・教授)、柴山 守(京都大学 地域研究統合情報センター・特任教授)、菅根 幸裕(千葉経済大学経済学部・教授)、林 行夫(京都大学地域研究統合情報センター・教授)、原 正一郎(京 都大学地域研究統合情報センター・教授)、村上 忠良(大阪大学言語文化研究科言語社会専攻・准教授)、守川 知子(北海道大学大学院文学研究科・准教 授)、山田 協太(京都大学大学院アジア・アフリカ研究研究科・助教)、山田 仁史(東北大学大学院文学研究科・准教授)
平成25年4月~平成28年3月(3年間)
目的:  人々の暮らしのなかで繰り返される宗教実践が生む時空間と、その実践が創出する共同性や絆の様態と動態を、相関型地域研究の視点から比較検討することにより、宗教および地域の概念を再構築するとともに、研究資源を調査対象地や当該の人々を含めて共有する仕組みを考案する。前複合ユニットでは、国境を越えて広がった宗教的関心にもとづく人の移動、経典や聖具の伝播に焦点をあててそこに生きる人々の視点から地域空間の様態を解明した。その成果を踏まえつつ、概念としての宗教の超越性を前提とせず、宗教に関連した様々なモノやコト(聖地や施設、経典・図像、神話・伝承、宗派・儀礼行為)のマッピングと情報の共有化を推進させることにより、宗教実践の時空間が構築される歴史的な過程とその動態を明らかにする。
研究実施状況: -平成25年度-
 本年度は、研究会3回と、データベース検討会1回を実施した。まず、2013年7月13日に地域研へ共同研究者を招へいし、各メンバーの研究紹介に加え、宗教実践に関する諸資料の情報学的な処理とマッピングの最前線の成果を、柴山守と桶谷猪久夫による発表をもとに、検討した。
 次いで、第2回研究会を、2013年12月14~15日に地域研で、個別ユニット「宗教実践における声と文字」(代表:村上忠良)と共催の形でおこなった。本複合ユニットからは、川田牧人、熊谷誠慈の2名の分担者が講演者として、フィリピンとブータンでおこなっている宗教実践の調査に関する発表をおこなった。ほか、個別ユニットからは、村上忠良、津村文彦(福井県立大学)、北田信(大阪大学)が発表をおこない、複合ユニットと個別ユニットの共同研究者のあいだの相互理解と意見交換を進めた。第3回研究会は、2014年2月23日に地域研でおこない、藏本龍介、山田協太がミャンマー、スリランカの都市の宗教施設に関する発表をおこなった。
 また2014年2月17日に、分担者の守川知子を京都に招へいし、中東地域のイスラーム巡礼に関する歴史資料の可視化とマッピング構築の検討会を、柴山守ほか若干名の参加によりおこなった。さらに、個別ユニット「『功徳』をめぐる宗教実践と社会文化動態に関する比較研究――東アジア・大陸東南アジア地域を対象として」(代表:長谷川清)との共催で、「日本仏教寺院におけるテーラワーダ仏教実践の一例――スリランカ長老を迎えての瞑想」(於:山口県下松市誓教寺)において班員の若干名が参加して研修と参与観察を実施した。
研究成果の概要: -平成25年度-
 初年度となる本年度は、分担者による個別事例の報告と課題をめぐる総合討論を主とした活動をおこなった。個別報告では、地域研究・地域情報学から文化人類学、宗教学、建築史などを専門とする研究者に話題提供を依頼し、学際的立場から新しい宗教研究の視角と方法に関する討論を重ねた。個別ユニットとの合同集会や研修活動は、研究対象とする課題の成り立ちを複合的に捉える意味でも意義あるものとなった。そしてその過程で、宗教現象に関わるヒトの移動や施設のマッピングについて、前複合ユニットで進められてきた経験的データの統合と共有化の方法を、東南アジア、日本、中東の諸地域へ展開するための地平を築きつつある。宗教というラベルを使わないで宗教の現実をモノ、場所と動きから捉える試みは、参加者間での意見の相互共有とともに、すこしずつ深められたように思われる。
公表実績: -平成25年度-
●CIAS (Center for Integrated Area Studies, Kyoto University) and CUSRI(Chulaongkorn University Social Research Institute) eds. 2014, Kanprachum sing patibat kan radap nanachat “Mapping Practices among Theravadins of Southeast Asia in Time and Space.” Krungthep: Sathaban Wichai Sangkhom Chulalongkorn Mahawitthayalai(チュラーロンコーン大学社会調査研究所)[vi +185pp]
●林行夫・柴山守・Julien Bourdon-Miyamoto、長谷川清・小島敬裕・小林知・高橋美和・笹川秀夫・土佐桂子・須羽新二、2014年、『宗教実践を可視化する――大陸部東南アジア上座仏教徒の寺院と移動』CIAS Discussion Paper No.42 [143pp.+1DVD]
研究成果公表計画
今後の展開等:
-平成25年度-
 次年度も、分担者による個別事例の報告と課題についての総合討論を中心として研究を進める。個別報告では特に、宗教に関わる広範な現象を対象とし、一般に文字化や可視化に適合しない人間活動の部分の取り扱いについて重点的に議論する。また、複合ユニットと個別ユニットの共催研究会を計画し、各個別ユニットの間の相互乗り入れをすすめ、各ユニットの成果を複合レベルの分担者の全体が共有できるようにする。
 一方で、東南アジア、日本、中東を対象地域として今年度進めた宗教関連要素のマッピングと情報の共有化について、データ分析と検討を一層進め、CIAS Discussion Paperなどでの成果の公開を実現する。